5/15(日)14:30~ 京都みなみ会館にて
1回限りのプレミア公開決定!

タミル大阪国際映画祭
ஓசகா தமிழ் சர்வதேச திரைப்பட விழா
第4回上映作品は

セットゥム アーイラム ポン ~死後に残るもの~

2020年秋、タミル映画の良作を紹介することに特化した
「タミル大阪国際映画祭 Osaka Tamil International Film Festival(OTIFF)」が開幕。
これまで【チル・カルパティ ~4つのスイーツ~】や【アスラン】など、
日本未公開のタミル映画良作を継続して上映してまいりました。

そして第4回の今回は、知られざるタミルの葬儀をテーマにした2020年公開の話題作
【セットゥム アーイラム ポン ~死後に残るもの~】(செத்தும் ஆயிரம் பொன்)
を皆様にお届けすることに決定しました!

タミルナードゥ州の田舎村が舞台の、消えゆく伝統文化オッパーリ(弔歌)を通して描かれる
祖母・孫・村人たちの愛と憎しみを描いたヒューマンドラマです。

派手なダンスシーンや面白いコメディは一切なく、一見退屈な作品に見えてしまうかもしれません。
しかし本作は鑑賞するうちに、「死は祝うべきもの」という死生観をはじめ、
古いものとして排除されがちな伝統文化・家族の絆・故郷の誇りなどを思い起こさせてくれます。

また、タミル映画では結婚式の場面は多く登場しますが、葬儀の場面は取り上げられても数秒程度。
これまでなかなか知ることができなかった、現地での「死」のセレモニーも体感できる意欲作
【セットゥム アーイラム ポン ~死後に残るもの~】
5/15(日)京都みなみ会館にて1回限りの上映を、どうぞお見逃しなく!

あらすじ Story

タミルナードゥ州南部の村から5歳の時にチェンナイへ移住したミーラ(本名はクンジャンマ)。
現在23歳の彼女は大都会・チェンナイで映画俳優の化粧師として働いている。
彼女の両親はすでに他界しており、唯一の家族は故郷にいる祖母でオッパーリ(弔歌)歌手のクリシュナヴェニ。
しかし祖母とは過去の出来事で確執があり、故郷に戻ろうとは全く思っていない。

ある日、クリシュナヴェニからミーラへ「話があるので短期間でいいので戻ってきてほしい」と連絡が。
ミーラは乗り気がしないが渋々故郷のアッパヌール村に帰省する。
村に向かうバスの中からすでにイライラしているミーラ。
到着すると、今度は幼馴染で死化粧師のクベランとも言い争いが勃発。

そんな中、呼び出された理由が自分には全く興味がない相続手続きの話と知り
だんだん馴れ馴れしく接してくる祖母に、ついにミーラの不満が爆発。
しかしそれは、全て祖母・クリシュナヴェニが孫娘ミーラを想う心があってのことだった―。

―素朴だけど心の底から笑える村の生活と、豊かだけどギスギスしている都会の生活。
―10万ルピーもするミーラの化粧道具と、100ルピーもしないクベランの化粧道具。

彼女の表情が変わってゆく。
失われたものを手に入れ、そして自分の"ルーツ"を知れたから。
本作品はタミル語音声/日本語字幕にて上映いたします。

「セットゥム アーイラム ポン」とは

本作のタイトル【செத்தும் ஆயிரம் பொன்(セットゥム アーイラム ポン)】は、タミルの古いことわざ
"யானை இருந்தாலும் ஆயிரம் பொன் இறந்தாலும் ஆயிரம் பொன்."
=象は生きている時、色々と役に立つ。
 そして死亡したときも、象皮や象牙は千金に値する。
から引用されています。

本作では村人の葬儀が複数回描かれ、悲しみの場面が連続します。
しかしその裏で、誤解がなくなったり家族の絆が深まったり失われた何かを取り戻したり・・・
ことわざ同様に「千金に値する」事象も次々起こります。

それは家族や地域の人々との関係が強固になり、「現代的な幸せ」とはまた異なった「人間本来の幸せ」を手に入れることにも繋がります。
そうした意味もあり、英語では本作のタイトルは【ルーツ(起源)】と訳されています。

原題を直訳すると「死は千金」となりますが、作品の内容と原題の響きを大切にし、邦題は【セットゥム アーイラム ポン ~死後に残るもの~】としました。

登場人物紹介

ミーラ役の主演を除くと本作は無名の俳優がほとんどなため、俳優名は記載せず役名のみを表記しています。
主演ニヴェーティダー・サティーシュ(நிவேதிதா சதீஷ்)は、タミル国際映画祭・第1回上映作品【チル・カルパティ ~4つのスイーツ~】にも、カラスのついばみ編でマドゥ役として出演しています。

ミーラ(クンジャンマ)

タミルの田舎アッパヌール村出身。5歳で大都会チェンナイに移住し、現在は映画出演者の化粧担当として働く。
口癖は英語の"What the fuck!"、サリーは着ずにタバコも吸う今風な都会っ子。
祖母(クリシュナヴェニ)からの連絡を受け故郷に戻るが、過去の出来事を恨みいつもイライラしている。

クリシュナヴェニ

ミーラの祖母。オッパーリ(弔歌)の歌手。
強気だけど根は優しい、典型的なタミル田舎のおばあちゃん。
相続手続のためという口実で孫娘(ミーラ)を呼び寄せるが、お互い意地っ張りな性格なため溝はなかなか埋まらない。
「アッパタン」「アッター」「パーティ」などと呼ばれているが、これらは全てタミル語で「おばあちゃん」の意。

クベラン

アッパヌール村在住の死化粧師。ミーラの幼馴染。
代々伝わる化粧道具を大切にし、仕事に誇りを持っている。
法外な料金は取らず博打もしない等、根は真面目で優しい。

過去にミーラの母に自分の父親を侮辱されたため、故郷に戻ってきたミーラを罵倒するが、本心は気になる存在で周りの村人達もそのことをわかっている。

サングデーヴァン(右)
バーフバリ(左)

クベランの仲間で助手的存在。
葬儀場の外で響く太鼓の音につられ踊りだす、博打トランプも大好きなタミル田舎の典型的なお調子モノ若者2人組。
ちなみに「バーフバリ」の名前はタミルでも結構多い。

ソーラムットゥ

アッパヌール村の芸能・芸術の先生。
本作の物語は彼の葬儀の場面から始まる。
地元の人達から尊敬され有力者でもあった彼だが、その葬儀の場面からは様々な人間模様も垣間見える。

ムットゥパンディ

常に外見を気にしている村のプレイボーイ。
しかしそれが原因でソーラムットゥに続き帰らぬ人に。
葬儀はワイドショー的なドロ沼展開となるが、一方でミーラが一躍村人達の脚光を浴びる機会にも。

アムダ

ミーラと同年代だが、村育ちの素朴な田舎っ娘。
考えや生活習慣は都会っ子のミーラと全く異なるが、明るくはっきりモノを言うシャキシャキした性格で、2人は意気投合。
クリシュナヴェニを慕い、ミーラに真実を伝える。

ラーニ

「女優になりたい」と夢を持つ、ちょっとおませなお転婆娘。
クベランを兄のように慕っているが、自分に化粧をしてくれないことにいつも文句を言っている。
その理由は悲しみの中で明らかに。

解説:オッパーリ(弔歌)とタミルの葬儀

オッパーリ ஒப்பாரி は、葬儀の際に女性達によって歌われるタミルナードゥ州の伝統的な弔歌。
現在でも村落を中心にその習慣は続いているものの、クリシュナヴェニのように職業としてのオッパーリ歌手は激減。
故人を称賛し、家族との繋がりや人々の悲しみについて即興で歌われるのが特色。
かつて日本はじめ世界各国に存在した「哭き女」の風習に似ている点もあります。

タミルはどちらかと言えば結婚式がオープンで、葬式はクローズな印象。
お隣のスリランカは逆に結婚式がクローズで、葬式はオープンな印象。
と言われることがあります。
タミル映画作品でも、結婚式の場面は多く登場し描写時間も長めですが、葬儀については触れられることが少ない傾向です。
出てきても1カット(ご遺体が燃やされている場面等)で終わることが多く、描写は短めです。
有名人の葬儀では透明の棺に入れられ大通りをパレードすることもありますが、一般人の場合は控えめと言えます。
一方、街中のポスターや新聞そして最近ではインターネットを通して、涙のイラストが入った葬儀の広告をよく目にします。
本作においてもソーラムットゥ・ムットゥパンディの葬儀の場面で、村の各所にポスターが貼られています。
村落では現在も楽団や劇団・オッパーリ歌手を招き村人が勢揃いする葬儀もありますが、都市部ではその伝統・風習は次第に消えつつあり、私達外国人にとって一層馴染みが薄くなっています。
本作のご鑑賞により、そうしたタミル地方の葬儀についても知識を深めることができるでしょう。

近年の"王道作品"に一石を投じる意欲作

  • 物語の舞台・アッパヌール村は、タミルナードゥ州南部・マドゥライとラーメーシュワラムの中間点くらいにある小さな村。
    実際はどうか不明ですが、本作では葬儀関係の仕事を持つ人たちが集まっている地域の設定。
    大都会チェンナイとは別世界で、ネットの電波すら入り辛いのどかな村です。
  • ご存知のとおり、インドではジャーティ―の考え方があり親の職業を継いでいくことが一般的でしたが、近年都市部においてはそれも希薄化してきています。
    クベランは村で親の仕事を代々受け継ぎ、ミーラは都会で弔歌歌手とは関係ない映画俳優の化粧師をしている点が、それを表しています。
  • 都会っ子のミーラは、村に戻った際その前近代的な古い風習や伝統にイライラを募らせます。
    特にクベランに代わり死化粧をさせられるのは、伝統的な葬儀関係の仕事をすることを意味し、いずれ弔歌歌手にもさせられると抵抗感があったに違いありません。
    都会での先進的な生活は自らが勝ち取った権利、過去に戻るなんてもってのほかです。
  • 一方でクベランは代々伝わる化粧道具を大切にし、誇りを持って仕事をしています。
    アムダも「村での生活もいいもんだよ。」とミーラに無邪気に語ります。
    しかし、村での生活が天国で何もかもが良い、という描写はされていません。
    そこには現実と同じように、村独特の人間模様や悪いしきたりも存在します。
  • 近年の日本で紹介されるインド映画は、古い悪習を徹底打破して自由や権利を手に入れるストーリーの作品が多い為、本作にやや不快な印象を持たれる方がいるかもしれません。
    しかし私達外国人から見て古いもの・奇怪なものと捉えてしまうことも、それは西洋的価値観からであって、現地の方々にとって誇りや伝統であったりすることもあります。
  • インドは多民族・多宗教・多言語・多文化の国。
    白か黒か、正解を1つにするのが難しいことも多く、価値観の決めつけが原因で外国人の私達が良かれと発言したことが相手を傷つけることもあります。
    【セットゥム アーイラム ポン ~死後に残るもの~】は、死生観や家族の絆がメインテーマですが、そんなインドの"多様性"も学ばせてくれる「観るべき作品」だと思います。
  • 都会っ子のミーラは、村に戻った際その前近代的な古い風習や伝統にイライラを募らせます。
    特にクベランに代わり死化粧をさせられるのは、伝統的な葬儀関係の仕事をすることを意味し、いずれ弔歌歌手にもさせられると抵抗感があったに違いありません。
    都会での先進的な生活は自らが勝ち取った権利、過去に戻るなんてもってのほかです。
POINT
注目

「タミル大阪国際映画祭」とは?

インド映画は、ボリウッドだけじゃない!
インドと一言で言ってもその国土は広大で、北と南では話す言葉も違います。
日本では【ムトゥ】のヒットでタミル映画が有名ですが、世界的にはインド映画といえば北インドのボリウッド以外まだまだあまり知られていません。また、日本においても【ムトゥ】や【バーフバリ】以外の南インド映画は観たことがない、という方も多いと思います。

そこで私達は、南インド・タミルナードゥ州の映画に特化し、その素晴らしさを日本の皆様にもより知って頂くため、タミル大阪国際映画祭(OTIFF)を立ち上げました。

日本のDAINA PICTURESが、インド・タミルナードゥ州の有名映画制作会社であるBigprint Picturesと提携し、日本のタミル映画ファンの皆様のご協力のもとに開催してまいります。

タミル大阪国際映画祭(OTIFF)は、2020年秋から毎年開催し、タミルと日本の架け橋となることを目指しています

刻印

ஓசகா தமிழ் சர்வதேச திரைப்பட விழா
タミル大阪国際映画祭

ஜப்பான் குடிமக்களாகிய நாங்கள் தமிழ் மக்களையும் அவர்களது கலாச்சாரத்தையும் திரை படைப்புகளையும் மிகவும் விரும்பி ரசிக்கக் கூடியவர்கள். இங்கு நிகழும் ஒசாகா தமிழ் திரை திருவிழாவானது இரு பிராந்திய மக்களுக்கு இடையேயான உறவை மேலும் வலுவடையச் செய்கிறது. ஓசாகா தமிழ் திருவிழாவானது வருடத்தின் குளிர் கால தொடக்கத்தில் நிகழும்.

記念すべき第1回目のタミル大阪国際映画祭は、2020年11月1日大阪・十三のミニシアター「シアターセブン」で開催しました。
コロナ禍における初回でしたが、劇場様およびご参加の皆様の絶大なご協力により、大成功で終了することができました。

この映画祭は、「タミル映画の良作を日本にご紹介していく」というコンセプトにご賛同頂いたボランティアスタッフにより運営されています。
非営利での運営のため、いろいろとご不便をおかけすることもあると思いますが、引き続きご理解・ご協力をお願いいたします。

ほとんど告知や宣伝をしていないにも関わらず、第1回目は募集開始1日で満席となり、日本でのタミル映画人気が高まっていることが感じ取れました。
皆様のご期待に添えるべく、引き続き大予算ではない隠れた名作を公開していく予定です。
今後のタミル大阪国際映画祭にも、どうぞご期待ください。

タミル大阪国際映画祭 第4回上映作品
【セットゥム アーイラム ポン ~死後に残るもの~】
日本語字幕上映会開催概要

タミル大阪国際映画祭・第4回の上映は、京都みなみ会館さんにて開催いたします。
建て直し前の旧館時代からインド映画上映に積極的なミニシアターさんで、
最近では【ダルバール】【ムトゥ】、そして前回のタミル大阪国際映画祭・番外編も同館にて上映されました。

最近まで客席数を1/2に減らして営業するなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響を多大に受けていると聞きます。
今回の上映も配給料金は一切頂かず、チケット代金の全てがシアターさんに入る仕組みとしています。

大作ではない普段着のタミル映画制作者を支援するとともに、インド映画上映に積極的なシアターさんも応援!

タミル大阪国際映画祭を日本で継続開催することで、
現地の制作者の皆さんを勇気付け、日本のミニシアターさんを応援しようと私達は考えています。

この趣旨にご賛同頂けましたら、ご入場時の検温・手指のアルコール消毒など感染予防対策にご協力頂き、
安心できる会場にて【セットゥム アーイラム ポン ~死後に残るもの~】の上映をお楽しみください。

※新型コロナウイルスの状況を見極め、開催の是非を判断していましたため、ギリギリの告知となり申し訳ございません。
 緊急事態宣言発令時などシアターが休業される事態となった場合には、本イベントも開催を見合わる場合がございます。

日程 2022年5月15日(
開場:14時25分頃~
開演:14時30分~
※上映時間が短い為、元々この作品にはインターミッション(途中休憩)が設定されていません
※終了は16時45分頃を予定
料金 一般 1,200円
京都みなみ会館会員 1,000円

※その他、劇場独自の割引などがあります。詳細はこちらをご覧ください。
開催場所 京都みなみ会館 (スクリーン2)
京都市南区西九条川原城町110

最寄駅 : 近鉄東寺駅
チケット 京都みなみ会館のWEBサイトにて只今発売中
※空席がある場合は、劇場にて当日券も販売します
チケット 京都みなみ会館のWEBサイトにて只今発売中
※空席がある場合は、劇場にて当日券も販売します
会場・京都みなみ会館へのアクセス方法は、こちらのページをご参照ください。
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ちょこっとプレゼント

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